来たる年を迎えるにあたって~北星学園大学の学生の皆さんへ~

来たる年を迎えるにあたって~北星学園大学の学生の皆さんへ~

2020年12月23日

来たる年を迎えるにあたって~北星学園大学の学生の皆さんへ~

学生相談センター長 牧田 浩一

 1年で最も日が短い冬至を迎え,遠い春の訪れに思いをはせる今日この頃,学生の皆さんは,いかがお過ごしでしょうか。激動の2020年が間もなく終わり,新しい年を迎えようとしています。この1年の大学生活を振り返り,何か得られるものはあったでしょうか。私自身改めて,2020年を振り返り,学生の皆さんへのメッセージを送ります。
 今年は卒業式に始まり,入学式,大学祭など多くの行事が中止になり,非対面形式の授業が導入されるなど,“制限”されることの多い一年となりました。大学生(若年者)は「感染症による重症化は少ない」1)ものの,アルバイト,サークル活動などほとんどの日常生活においてウイルスの媒介とならぬような態度が求められました2)。また,大学1年生は,対面の講義を受ける機会がなかったため,前期講義の受講や学習課題の遂行にたくさんの不安,戸惑いを覚えたことでしょう。更に,多くの季節行事が制限,中止されたことにより,新しい人間関係を築く大切なきっかけが失われてしまいました。そのために,学生の皆さんの中には,不安,怒り,憂鬱などの負の感情を覚えた人もたくさんいたことでしょう。
 ウイルスと同様,心の中にある負の感情は,目に見えない捉えがたい対象です。負の感情により,他者とともに,自己を傷つける行動・発言を生むことがあります。インターネットなどのメディアにおいてそのような行動・発言を見聞きすることもありました。そのような行動・発言に巻き込まれないようにするためには,自己が負の感情に流されないことが肝要だと考えます。負の感情が生じたとき,自己を責め,他者のせいにするのではなく,一度立ち止まり出来るだけ客観的な態度で負の感情について考えてみて欲しいと思います。
 もちろん,この1年間を振り返ったとき,「嬉しかったこと」「楽しかったこと」「達成出来たこと」など正の感情を覚えたこともたくさんあったはずです。私は,大学で対面形式の講義を行えたとき,喜びと充実感を覚えました。更に,ずっとやってみたかったマキ割りに挑戦しました。汗を流した後,木の香りに満たされ,達成感を感じることが出来ました。負の感情も,正の感情も必要な感情で,両方のバランスをうまく保ちながら付き合っていくことが大切なのだと思います。多くのことが変化した1年でしたが,皆さんがこの1年を少しでも良い年であったことを思いながら締めくくれたら幸いに思います。

 大学では,皆さんの大学生活が豊かなものとなるよう学生相談などの様々な支援を行っています。必要に応じて,これらの支援を受けることも大切です。
 皆さんの学生生活がより充実したものとなり,穏やかな気持ちで新しい年を迎えられることを心より願い,このメッセージを記しました。

1)厚生労働省(2020年11月)「新型コロナウイルス感染症の“いま”についての10の知識」.
2)文部科学省「新型コロナウイルス感染症に関する差別・偏見の防止に向けて 啓発動画」.